
ココと感じる瞬間はほんとうに一瞬。
そう...『思う』と言うより『感じる』と言ったほうが正しくて、私の撮影スタイルの基本は受け身。
素敵な景色や輝かしい笑顔などを目の前にすることで感情が生まれるし、カメラを持っていたら撮りたくなるだろう。ただし、それを撮ろうとカメラを構えることでロジカルな思考に流されていって、ついさっき生まれたはずの感情の高ぶりが壊されやすくなっている。
美しい景色を美しく撮るにはどうしたらいいかとよく質問されるが、写真になったものを観たときには実物を目にしたそのときのような感情が生まれにくいものになっているらしい。
一度観たものだから二度目は...という問題ではなく、撮れた写真、つまりシャッターを切った段階で何かが写せていないのだろう。
たぶん、その何かとはその人の感情に関係したものだけど、その何かを把握せずに撮ってるのかなと思うことは多い。これをはっきり把握する人も、なんとなくという人も、意識しなくても感覚で取り込める人も居る。
でも撮影者の『視点』、これがはっきりした写真が伝わりやすい写真であることは多い。
先に私の撮影スタイルが受け身と書いたが、カメラを構えていても構えていなくてもいつも同じように、いろんなものを感じとるようにしていると言ったほうが判りやすいかもしれない。
ファインダーを覗いていてもカメラを操作していても、陽の温もりを感じたり、風を感じたり、声を聞いたり、動きの先を見ている。
ココと感じる瞬間はほんとうに一瞬。
その一瞬に合わせた私は、カメラを構えだしてから撮り終わるまでがあっと言う間なので、一緒に撮る人たちにはよく聞かれる。「撮った?」ってね。
もちろん、ゆっくりじっくり撮る被写体もあるけど。
コンサート関係で忙しかった間に、来月、二人と再会することが決まった。
すごくすごく楽しんでくれたこの二人の感情が写真を通して伝われば幸いだ。